世界一周日和

2016年11月17日から夫婦で世界一周旅行中

「子ども達の手助けが出来ることが一番のやりがいです」 ラオス 看護師インタビュー

妻です。

 

コーン島で宿泊した宿のおばちゃんに、

「この島って病院あるの?」と尋ねると。

「あるよ。ほら、目の前のそこが病院だよ」と。

確かに病院のマークが見える。

せっかくなので、行ってみよう!

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行ってみると確かに病院がありました。病院というよりは診療所といった方がしっくりくる、簡素な造りの建物。

中に入ると看護師さんがいて、ラッキーなことに病院の中、診察の様子の見学をさせてもらえ、インタビューにも応じてくれました!!

 

インタビューの前にラオスの医療について

 

ラオス医療水準

当地の医療水準は低く,英語での意思疎通は困難な場合が多い。邦人の多くはビエンチャン特別市内のCentre Médical de l’Ambassade de France(CMAF)やAlliance International Medical Centreなどの外国人がよく利用しているクリニックを利用しています。ただし上記のクリニックでは可能な検査や治療は限られており入院施設がないため,入院や手術,精密検査が必要な場合や,産婦人科,耳鼻咽喉科,眼科など専門医の診察が必要な場合には,邦人の多くは国境を越えタイ東北部ノンカイまたはウドンタニ,さらにはバンコクの病院を受診する必要がある。

                       (外務省ホームページより)

 ラオス人民民主共和国の医療サービスは、そのほとんどが政府により所有・管理されている中央病院、地域・群病院およびヘルスセンターにより提供されている。公的医療機関 において提供される医療サービスの水準は低く、よりよい医療サービスに対する需要の高 まりから、民間医療機関も都市部を中心に拡大している。高度医療を提供する中央および県病院に比べ、郡病院の利用率は低い。

初等レベルの医療サービスを提供している保健センターは、郡保健局の管轄下にある公 的一次医療機関で、5~15 村を所管している。多くは准看護師が 1 人から 3 人駐在するの みで、簡単な治療と予防接種、健康教育などの予防活動を行っている。中央病院の入院病棟の稼働率は 60 パーセント程度で、群病院の入院病棟は閑散としてい る。本来であれば入院すべき患者が入院していない状況もあると推測される。

(H26  新興国マクロヘルスデータ、規制・制度 に関する調査 経済産業省 より)

 

医療人材
ラオスは深刻な医療人材不足に直面している。1988 年から 2009 年までの約 20 年間における人口増加率は 23 パーセントであったのに対し、医療人材の合計はほぼ同数のままであ る。資格のある医療従事者(医師、看護師及び助産師)の数は、3,873 名で、人口 1,000 人に 対し、0.69 人であり、これは WHO が推奨している基準(1,000 人あたり 2.5 人)を大きく 下回っている。さらに、プライマリ・ヘルスケアにおいては 75 パーセントの医療従事者が 初頭レベルのトレーニングしか受けていない。最高水準のトレーニングを受けた医療従事 者は、中央及び県病院に集中している。

(H26  新興国マクロヘルスデータ、規制・制度 に関する調査 経済産業省 より)

 

平均寿命(WHO2016年度版)

ラオス:67.2歳(138位/183ヶ国中)

日本:83.7 歳(1位/183ヶ国中)

 

新生児死亡率(WHO2016年版)

ラオス:3.01%(175位/194ヶ国中)

日本:0.09%( 2位/ 194ヶ国中)

1000人出産あたりのパーセンテージ
新生児は生後約1ヶ月未満の赤ん坊で、死亡率は1000人出産当たりに死亡する人数。

 

妊産婦死亡数(WHO2016年版)

ラオス:0.197%(52位/178カ国中)

日本:0.005%(172位/178カ国中)

10万人出産あたりのパーセンテージ

 

ラオスの医療状況は決して良いとは言えないようです。ラオスは国の85%が農村部ですが、その農村部に都市部と同レベルの医療が提供されていない現状のようです。

データを見て、平均寿命の短さにも驚きましたが、それ以上に新生児死亡率と妊産婦死亡者数に驚きました。これには、医療水準の低さ、不衛生な出産環境による感染症、母親の低栄養が影響しているそうです。これらは国やユニセフ、JICAなど様々な機関の活動により、近年改善傾向にあるようですが、いまだに多くの保険指標がアジア最低でアフリカ諸国と同程度と言われています。

 

 

今回おじゃました病院

「タベオ ウィンディホスピタル」

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名前はホスピタルですが、医療情報にあった「初等レベルの医療サービスを提供している保健センター」と位置付けられる場所なのかなと推測します。

コーン島だけでこのような保健センターが13ヶ所あるそうです。 

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患者さんの待合いスペース

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ベットのようなものが並んでいます。

日本の病院のように、待合室には色々なポスターが貼ってあります。

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喫煙の弊害を伝えるポスター

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感染症予防策を伝えるポスター

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赤ちゃんの月齢別の授乳頻度、離乳食の開始時期や回数を説明しているポスター

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診察室

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診察室は日当たり・風通しが良く居心地が良いのか、近所の野良犬がやって来てずっと休憩していました。診察室に犬。日本では見ない光景ですよね。

犬以外にも猫も休憩していました。

 

診察台

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この島は道路が舗装されていないので土ボコリがひどく、診察前に診察台を綺麗に拭き掃除しています。最後にアルコール消毒。

 

処置室・内診台

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このホスピタルではお産も扱っています。この内診台は分娩台としても使われているようです。

 

回診車

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医療機器を消毒・滅菌する機械

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マラリアの検査キット

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看護師インタビュー  ラオス コーン島 編 

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名前:ゲロマさん

年齢:35歳

看護師歴:15年

  

(今回は簡単な英語とラオス旅の指さし会話帳のみを使ってのコミュニケーションだったため、いつもより短く簡素なインタビューになっています。)
 

Q看護師を目指した理由は何ですか?

病気で苦しむ人たち、特に子供達を助けたいと思ったから。

 

Q何が専門の看護師ですか?

私は助産師なので、妊産婦や新生児・乳幼児の看護を専門としています。助産師になるために3年間専門の学校で学びました。私は助産師ですが、この病院の看護師は私だけなので、妊産婦や新生児・乳幼児だけでなく、地域のすべての患者の看護をしています。

 

Qこの病院では年間どれくらいの出産件数がありますか?

年間約40件の出産を扱っています。この地域の妊婦はもっと多いのですが、島の外の大きな病院に行って出産する妊婦も多いので、ここでは40件くらいです。

 

Q自宅で出産する人がいると聞いたのですが本当ですか?

確かに昔は自宅で出産する人が多くいました。しかし、現在ラオスでは妊婦健診や出産の費用が無料で、ここのような村のホスピタルも増えているので、自宅出産する妊婦は減っていると思います。

 

Qこの病院の特徴は何ですか?

病気の治療だけではなく、この地域の人々の健康管理も担っています。

妊婦や小児へのワクチン接種を積極的に行っています。

 

Qこの病院にドクターはいますか

います。彼女がドクターです。

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彼女は元々看護師でしたが、看護師として臨床で働き、その後さらに学校へ行き医師免許を取りました。ラオスでは2年専門の学校へ行き看護師ライセンスを取得、その後4年間臨床で働き、その後さらに2年専門の学校へ行くと医師のライセンスが取得できます。そのような方法で看護師から医師になった人が多くいます。

 

Qこの病院を受診する患者に多い疾患は何ですか?

胃痛・腹痛・嘔気を訴えて受診する患者が多いです。(感染性腸炎・胃炎)

あとは風邪症状。

マラリアやデング熱の患者は今のところいません。

 

Q看護師の仕事のやりがは何ですか?

病気になった子供たちの手助けを出来ることです。もともとそれがしたくて看護師になったので、子供達の看護をしている時に一番やりがいを感じます。

 

私が日本から来たと伝えると、

「これは日本からの支援で購入したのよ」とドップラー(超音波の機械)や体重計などを見せてくれました。

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見学させてもらった、診察の様子

 

妊婦健診の様子

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体重測定、触診、聴診、腹囲測定など一通りのチェックを受けた後に、医師からアドバイスをしていました。

妊婦が持参した数枚の用紙に今日の結果や検診の日程などが記入してありました。

日本の「母子手帳」のようなものなのかな

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妊婦への予防接種

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接種していたのは「破傷風ワクチン」

日本では妊婦に破傷風ワクチンを接種することはないようですが、ラオスなどの発展途上国では不衛生な出産環境・児の臍の緒の不衛生な切断などにより、新生児破傷風を発症し亡くなる新生児がいるため、妊婦に破傷風ワクチンを接種しているそうです。

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ワクチンは専用の保冷庫に保存してありました。

 

最後に、貧血予防の鉄剤が処方されていました。

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検診を終えた妊婦さんは、元気にバイクに乗って帰って行きました。

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発熱などの風邪症状で受診した女の子

 

診察の後、解熱剤の注射を受けます。

お父さんに抱っこされて、お尻に注射。

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女の子に処方されていた薬

アスコルビン酸(ビタミンC)

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サルブタモール(気管支拡張剤)

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アンピシリン(抗生物質)

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診察・注射・処方薬で¥500くらいの支払いでした。

 

感想

今回で4回目の海外ナースインタビューですが、実際にじっくり病院の中の様子や診察の様子を見学したのは初めてでした。当たり前ですが、今回の病院の施設設備や医療器具、診察の様子は今まで自分が働いていた日本の病院のものとは大きく違い、驚きが多かったです。

働いている看護師は一人だけ、子どもから高齢者、妊婦まで全ての患者の看護をする必要がある、十分な医療設備も医療器具も揃っていない、正直言って、恵まれた環境とは言い難い中で働いているゲロマさんですが、診察の前に一人で黙々と環境整備(掃除や消毒)をしたり、すごいスピードで処置をこなしていったり、自分の置かれた環境の中で最大限の工夫や努力をし、テキパキ、パワフルに働いている姿がすごく印象的でした。

インタビューが終わった後「今から、怖がって病院に来ないおじいちゃんの往診に行くの、今日も忙しいわー」と沢山の医療器具やケアグッズ、カルテや薬をバックに詰め込んで、バイクで颯爽と去っていったゲルマさん。すごくかっこ良かったです。

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